キミが可愛いわけがない
「どうよ、最近。学校のほうは」
棚に並べられていた参考書を適当にパラパラとめくりながら聞いてくる翔也さん。
「…んー、まぁ」
「なに、もしかしてまだ新しい友達できていないとかいうんじゃないだろうな?」
「アハハハハ」
笑ってごまかす。
おっしゃる通りですよ。
「おいおい、もしかして本当に柚希ちゃんだけ?」
っ?!
まさかここでユズの名前を聞くなんて思わなかった。
「その顔。わかりやすすぎ」
翔也さんが呆れたように笑った。
「でも…俺にとって今、ユズは友達じゃないっていうか…」
「へっ……」
俺の言葉でこちらを凝視する翔也さん。
「芽郁、お前…」
「最初はおかしいって思ってたんですけど、でもやっぱり最近、ユズが可愛いく見えるんですよ」
「プッ…!アハハハハッ!」
「ちょ、盛大に吹かないでくださいよ!」
突然大笑いしだした翔也さんを注意する。
こっちだってすごい恥ずかしいことを言ってるのはわかってる。
だけど、唯一同性で話せる人は翔也さんしかいないわけで。