キミが可愛いわけがない
本屋を出て、隣のファーストフード店に入ってから、翔也さんにユズとの詳しい内容を話す。
「まぁ、俺は前から知ってたけど、まさか当の本人が今やっと気付いたなんてな…遅すぎ」
翔也さんはそう言いながらククッと腹を抱えて笑った。
「前からって…」
「お前の勉強見てやってた時からだけど?」
「…嘘」
それって、俺小学生の頃じゃん。
「その感情が恋だって気付いたのが最近だってだけで根本的な気持ちは変わっていないんじゃない?」
「……はぁ」
「で、柚希ちゃんの方はどうなのよ」
翔也さんは「どーせ両思いでいい感じなんだろう〜ヒューヒュー」とうるさい。
「…同じクラスの男とイチャついてる」
「はぁ?なにそれ」
「その男が一方的にユズに絡んでるだけだけど…ユズもそいつになんだか押され気味な気がして…このままあの2人くっついちゃうんじゃないかって…」
有馬に取られたくないくせに、自身のなさでいっぱいだ。
『ライバル同士』
しかも、本当にあいつに俺の気持ちがバレていた。
だいたい、若松や有馬みたいな他人にもバレるくらいなのに、どうしてユズは気づいてくれねーんだよ。