キミが可愛いわけがない
(side 芽郁)


ユズがなにを言い出そうとしてるのかわかってて、あえて俺は話をそらした。


多分、ユズは勘違いしている。


でもそれは俺が否定したって意味ない気がするし。



「だから、お前から誤解解いてくれよ」


『でも、何も聞かれてないのに答える方が逆に怪しくない?』



ユズが俺の部屋から自分の家へと帰ったあと、俺は若松と電話で話す。



「…けど」


『楠木くんってさ…結構面倒くさいね』


っ?!


「ちょ、なんだよそれ!」


『だって。全然自分から動かないくせに、私にはどんどん仕事頼むから』


「それは若松のためでもあるだろ!感謝してるし!」


『頑固』とか『面倒くさい』とか、今日はそういうことをよく言われる日だ。



『…なんか、焦ってる?』



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