キミが可愛いわけがない



─────ガチャ


「「あ」」


家を出ようと、他の外にある鉢植えを玄関の中に片付けてからもう一度ドアを開けた時。


隣の門から出てきたユズと声が重なった。


ユズにしてはいつもの登校時間より遅い。


いつも、俺を避けるように早めに学校に行くからな、ユズは。


「寝坊か」


「…っざい」


「は?」


若干こちらを睨んでるユズの隣を歩く。


なんかユズ…声おかしい。


「…っ!ぢがづがないでよ!」


「はぁ?わかってるよ。今だけだろ」


どんだけ他の人に俺と歩いてるの見られるが嫌なんだよ。


って、そーじゃなくて。



「ユズ、お前声…」


「……」


「風邪か?」


なんか、顔も少しぼーっとしてる気がするし、歩き方もだるそうだ。


「歌いすぎただけ」


「ユズ」


「あーも!だがらぢがづぐなっで、いっでんじゃん!」


「…は、」


近づくなって…俺といるの見られたくないとかじゃなくて、いや、それもかもしれないけど。だけど、1番は風邪をうつさないためだったのか?



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