キミが可愛いわけがない


「だったらマスクくらいしろよ。それだと全員に撒き散らすぞ」


いつもよりかなり強い風が吹くなか、ゆらゆらと歩くユズにそういう。


こんな日に限って風邪とか、無理しないで休んだらいいのに。



「ぞんなもんじだら、あのグゾおどごがうるざいがらね」


…有馬のせいでマスクしねぇのかよ。


せっかく手の怪我が治ってきたと思ったのに今度は風邪て…こんなにか弱かったか?ユズ。


「ゴリラでも風邪引くのな」


「うっ。ごれで証明ざれだよね!あだじはバガじゃないっで!」


鼻をすすりながら、必死にしゃべるユズ。
まぶたは若干膨れてて、鼻水はジュルジュルとうるさいのに。



やっぱり、横目で見ながら愛おしく思う。


重症だ。
こんなブサイクなのに。



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