キミが可愛いわけがない


「上履き、一緒に探────」


────クラッ



だって…いつぶりに引いたかわからないくらいだもん。


自分限界なんてわかんない─────。



「か、河西先輩?!」


「……」


「……先輩─────!」


そこからはよく覚えていない。


最後の記憶は、布施くんに何度か名前を呼ばれていた、くらいしかない。



昔はもっと強かったはずなのに。


小さい頃も風邪をひいた時の記憶なんてない。それなのに、たかが風邪でこんなにも。



目を開けると、そこには真っ白い天井が広がっていた。


独特な消毒液の匂い。



あぁ、昔からあんまり好きじゃないな、この匂い。


でも、なんだか最近も嗅いだ気がするのは、多分、肝試しの時に手を怪我した時に施設の救護室でも似た匂いを嗅いだからだ。



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