キミが可愛いわけがない
「なんなの本当」
っ?!
横から聞き慣れた声がしたので、私は横になったままバッと声のする方向へ顔を向ける。
「芽郁…」
そこには、眉間に皺を寄せてこちらを少し睨んだ芽郁がいた。
「こうなるってわかってて、なんでいつも同じ間違いするわけ…」
「はっ?」
「テストの時だって結局俺に泣きつくくせに意地張って大丈夫の一点張りだし、今回のこれだって全然大丈夫じゃないしよ」
「はぁー?風邪と勉強一緒にすんなし!」
思わずカバッと起き上がって、そう叫ぶ。
「うっ、」
自分の声でズキンと頭が痛くなる。
「ユズよりユズの体のことわかってんの俺だな」
芽郁はドヤ顔でそういうと、私のおでこにポンと何かを当てた。
「…ん?」
「飲め」
そう言われて、おでこに当てられたそれを手に取ると、パックのりんごジュースが私の手の中に収まっていた。