キミが可愛いわけがない
「…これ」
「ユズが倒れたって若松から聞いて」
「わざわざ買ってくれたんだ」
「別にここに来るまでの通り道の自販機だし」
そんなこと言って顔を晒す芽郁だけど。
何だかんだ優しいの、私は知ってるよ。
「それで、お前どうやってここまで来たんだ?」
「へ?」
「先生が言うには、先生が来た時にはユズはベッドで寝ていたって。38.0°なんて熱に慣れてるわけないユズが一人でここまで?」
「あ…」
そうなんだ。
私…ばったりメガネくんに会ってそれで…。
もしかして、あの子が私を保健室まで?!
明らかに私より力無さそうで、私よりも身長低い一年生だよ?!
「心あたりあるのか?」
「あ、うん」
「誰」
うっ。
なんか…芽郁、顔が怖いんだけど。