キミが可愛いわけがない
「もしかして、同じクラスの有馬…」
「はぁ?な訳ないじゃん。死んでもあんなチャラ男になんて運んでもらいたかないね!」
「お、おぉ」
なにその、よく言ったみたいな顔。
「1年生の子。ばったり廊下で会って。でも私より身長低かったしすごい大変だったと思う」
「じゃあ、今度ちゃんと礼しないとな」
「うん」
ガチャ──────
と保健室のドアが開く音と、
カツカツとヒールで歩く音がする。
保健室の先生が帰って来たみたいだ。
「俺、そろそろ授業受けてくる」
「あ、うん。わざわざどう────」
『 どうも』そう言おうとした私の声は、突然握られた手に驚いて止まってしまう。