キミが可愛いわけがない





「河西さんのことなら送っていくから、楠木くんも乗る?」


午後の授業が始まる前、
『台風が接近中のため午後の授業は中止』
という校内放送が流れて、いつもより早い帰りのHRを終えた俺は急いでユズのいる保健室に向かった。



すると、こうやって関わるのはユズが手を怪我したあの日と合わせて2回目の養護教諭の先生が首を傾げながら俺の顔を見た。



「あ、はい、ありがとうございます」


俺はそう言って頭を下げる。


まさか、2度も先生の車に乗ることになるなんて。


それも原因が、今まで怪我も病気もしたことがなかったユズときたもんだ。


「え、歩いて帰れますっ!」


「嘘つくなよ」


ベッドに座っていたユズにすぐにツッコむ。


「ただでさえ風が強くて危険だもの。何かあったら困るわ」


先生はそういうとパッパと準備をして、行くわよ、と言った。


< 148 / 238 >

この作品をシェア

pagetop