キミが可愛いわけがない
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「河西さんのことなら送っていくから、楠木くんも乗る?」
午後の授業が始まる前、
『台風が接近中のため午後の授業は中止』
という校内放送が流れて、いつもより早い帰りのHRを終えた俺は急いでユズのいる保健室に向かった。
すると、こうやって関わるのはユズが手を怪我したあの日と合わせて2回目の養護教諭の先生が首を傾げながら俺の顔を見た。
「あ、はい、ありがとうございます」
俺はそう言って頭を下げる。
まさか、2度も先生の車に乗ることになるなんて。
それも原因が、今まで怪我も病気もしたことがなかったユズときたもんだ。
「え、歩いて帰れますっ!」
「嘘つくなよ」
ベッドに座っていたユズにすぐにツッコむ。
「ただでさえ風が強くて危険だもの。何かあったら困るわ」
先生はそういうとパッパと準備をして、行くわよ、と言った。