キミが可愛いわけがない
「せっかく素直にお礼言ったのになんなの?」
「気持ち悪いからやめろよ」
「っっ!」
相手はこれでも一応病人で、自分の好きな人なくせに。
なんでこうもうまくいかないんだよ。
頑張ろうとしてカッコいいセリフを吐いたって恥ずかしくなって嫌になるし。
若松には申し訳ないけど、俺にはやっぱりユズにこの気持ちを伝えるなんて無理そうだ。
「ほらほら、早く車乗りな〜」
気づけば、外の駐車場に出ていて、俺とユズは先生なら押されながら車の中へと入って行く。
─────バタンっ
「河西さん、ちゃんと休むのよ?女の子なんだから、もっと自分の体大事にしなきゃ。小学生の頃とは違うんだからね」
「…はい」
そうだ。
自分を女だと自覚してないのは1番ユズだ。
そりゃガサツだしでかいかいしバカだけど、
ちゃんとユズは女の子なんだから。