キミが可愛いわけがない


芽郁が…私の部屋にいる?


っていうかなんで制服姿で濡れてるのさ。


不法侵入不法侵入。


「なんで」


言葉が足りなさすぎることくらい重々承知だけど、そんなこと言ってられないくらい今は何も考えたくない。


それに、芽郁ならちゃんとくみ取って察してくれることを知っているから。


「…風邪引いてんのに無理して学校来たりするから悪化して部屋の真ん中でぶっ倒れた、わず」


「わずやめろ」


私がそう突っ込むと、芽郁は私が動かないことをいいことに私の頬をプニッと人差し指で押した。


触るな、とか


近い、とか


言いたいことは色々あるけど、なんせ今は何もしたくない以外の何ものでもないのだ。


やっと動かせた左手で、芽郁のその指をどかして、そのままおでこに手をやるとサラふわっとした手触りがそこにはあった。



冷えピタ。


あぁ、覚えていた感じはこれか。


「芽郁が?」


目だけを彼の方に持っていき聞く。



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