キミが可愛いわけがない


守るって決めたのに。

傷つけてばかりだ。



「やっぱり嘘」


っ?!


ユズが小さく呟いた。


「……なにが」


「芽郁のこと嫌いって言ったの、あれ嘘」


「……」


「好きだから一緒にいるに決まってる」


「………」


そういうところすぐに素直になるユズはずるい。


人の気も知らないで。


彼女の『好き』が幼なじみとしてだと言うことはわかってる。


小さい頃からよく言われてきた。


『芽郁好きー!あ、コウタくんもげんちゃんも!みーんな!』


彼女にとっての『好き』は


友達だと言うこと。


それでも、こんなめんどくさい俺のことを好きだと、友達だと言ってくれるユズにやっぱり甘えてしまって。



「俺もちょっと嘘ついた。ごめん」



そうやってすぐ許しを請うんだ。



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