キミが可愛いわけがない
*
「……っ、ん」
懐かしい夢を見ていたな。
ゆっくり目を開けると、周りはさっきよりも薄暗くなっていた。
部屋の電気が消えている。
外はまだゴーゴーと風と雨の音がうるさい。
でも、ちょっとこの音が心地よかったりもするな。
なんか…まだ少し明るかった部屋で芽郁と喋った気もしたけど。
少し視界がはっきりしていること、さっきの頭痛が治ったことで、だいぶ楽になったのかわかる。
私はおでこの冷えピタを取ろうと、左手を動かす。
ん?
重い何かが私の手を離さない。
目線を少し下に向けると、そこには見慣れた頭がベッドの上に置かれていた。
…芽郁、、ずっと隣にいてくれたんだ。
ありがたいけど、左手がちょっと痺れてるのよ。
ありがたいけど。
なんか起こすのもアレなので、私は少しボーッと芽郁の頭を見つめる。
でかくなったよな。