キミが可愛いわけがない





「……っ、ん」


懐かしい夢を見ていたな。


ゆっくり目を開けると、周りはさっきよりも薄暗くなっていた。


部屋の電気が消えている。


外はまだゴーゴーと風と雨の音がうるさい。


でも、ちょっとこの音が心地よかったりもするな。


なんか…まだ少し明るかった部屋で芽郁と喋った気もしたけど。


少し視界がはっきりしていること、さっきの頭痛が治ったことで、だいぶ楽になったのかわかる。


私はおでこの冷えピタを取ろうと、左手を動かす。


ん?


重い何かが私の手を離さない。


目線を少し下に向けると、そこには見慣れた頭がベッドの上に置かれていた。


…芽郁、、ずっと隣にいてくれたんだ。



ありがたいけど、左手がちょっと痺れてるのよ。


ありがたいけど。


なんか起こすのもアレなので、私は少しボーッと芽郁の頭を見つめる。


でかくなったよな。



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