キミが可愛いわけがない
─────ガチャ
っ!!
「ユズ、、」
「あ、おはよ、芽郁」
キッチンから飲み物を持ってきて、部屋のドアを開けると、ベッドに座ったユズがこちらを見てそう言った。
さっきキスしたの、バレてないよな?
つーか、もし起きてたなんて言いだしたらどうすんだよ。
っていうか、ユズの顔が、さっきよりも増して可愛く見える。
おかしい。
相手はゴリラなのに。
「おはよって、今夜中の3時だぞ」
俺は部屋の電気をパチっとつけてドアの前に立つ。
ユズの方へすぐ駆け寄ることができないのは罪悪感だ。
「ありがとうね、ずっとそばにいてくれて」
「やめろよ。別に大したことないしてない」
俺の心臓は、好きな人が目の前にいるというドキドキよりもキスのことを聞かれることへの不安のドキドキでうるさい。
頭の中でなんて言い訳しようぐるぐると考える。