キミが可愛いわけがない
芽郁が私にキスした理由なんて…。
咲菜にするための予行練習か何かか、気持ちが抑えられなかったから仕方なくって感じだろう。
だいたい、最初からおかしかった。
いきなり肝試しでペアを組んだり、咲菜が私とお友達になりたいって言い出すなんて。
ハンバーガー屋さんで始めて咲菜を見たあの日さえも、もしかして計算?だなんて思っちゃうし。
そんなこと考える自分が一番気持ちが悪い。
第一、芽郁は私のものなんかじゃないのに。
いいじゃない。芽郁が彼女を作ったって。
「…ユズちゃん?」
「っ、は、ごめんっ!」
気づくと、外のベンチに座ってボーっとする私の顔を咲菜が覗いていた。
あぁ、嫌だな。
考えたくないのに。
どんどん嫌なこと考えちゃう。