キミが可愛いわけがない
「うん!もうすっかり元気!あの日、保健室まで運んでくれたの、布施くんだったんだね。本当に助かった!ありがとう」
「え、あぁ、いえ…」
布施くんは、こめかみをかきながら頬を少し赤く染めた。
あぁ、年下男子ってやっぱり可愛いな。
「今、何してたの?」
「えっ、あ…」
布施くんは少し困った顔をしながら、手に持っていた何かをスッと隠した。
多分、財布だ。
「布施くん…」
「僕が…弱いのがいけないので」
違うよ。
きっと、財布が盗まれたのに気付いた布施くんは校舎中を探し回って、ここにたどり着いたんだろう。
逆によく見つけたよ。
「たいして入ってたわけじゃないし…」
「ダメだよ」
「えっ、」
「布施くんが弱かろうが強かろうが、いじめていい理由にはならないよ」
そんなセリフを吐きながら、胸が苦しくなるのは、今の布施くんが昔の自分とかぶるから。