キミが可愛いわけがない


「でも、それをいじめてる人達に言ったって多分聞く耳を持たないです」


「うん。だよね」


逃げるか、強くなるかのどちらかしかない。



人それぞれ、顔や性格や国や文化、価値観、人種みんな違う分、それはきっとなくならない。


自分と違う人間を見つけたら、必ず過剰反応して敵視する人たちがいる。


空気を読め、


周りに合わせろ、


出る杭は打たれるもんだ、


なんて。


おかしな話なんだ。


「河西先輩は、どうやって乗り越えたんですか?」


「私は────」



『俺はずっと、ユズの味方だよ』


暖かい手に握られたあの日。


私は──────。


「幼なじみに助けてもらった」


乗り越えられたのは、紛れもなく、芽郁の存在があったから。


< 176 / 238 >

この作品をシェア

pagetop