キミが可愛いわけがない
「でも、それをいじめてる人達に言ったって多分聞く耳を持たないです」
「うん。だよね」
逃げるか、強くなるかのどちらかしかない。
人それぞれ、顔や性格や国や文化、価値観、人種みんな違う分、それはきっとなくならない。
自分と違う人間を見つけたら、必ず過剰反応して敵視する人たちがいる。
空気を読め、
周りに合わせろ、
出る杭は打たれるもんだ、
なんて。
おかしな話なんだ。
「河西先輩は、どうやって乗り越えたんですか?」
「私は────」
『俺はずっと、ユズの味方だよ』
暖かい手に握られたあの日。
私は──────。
「幼なじみに助けてもらった」
乗り越えられたのは、紛れもなく、芽郁の存在があったから。