キミが可愛いわけがない
「幼なじみ?ですか…」
「うん。人見知りで全然頼りにならないやつなんだけど…その時だけは…幼なじみの手がすごく大きく感じた」
「今も、仲良いんですか?」
「んー、実は…最近喧嘩、しちゃって…」
あれを喧嘩と言っていいのかわからない。
あの時─────。
私は芽郁にキスされた気がした。
いや、確実に触れた。
だけど…夢だったんじゃないかって思うところもある。
芽郁が女と見ていない私にそういうことをするなんて、おかしい話だから。
ふざけてああ言うことするタイプでもない。
でももし、あれが夢じゃないのなら、理由を考えても考えても、咲菜の顔がチラついてしまう。
最近、付き合ってるんじゃないかって噂もちょいちょい聞く。
そもそも、私以外の誰とも関わろうとしてこなかった芽郁が、いきなり咲菜と関わるなんて、やっぱりそれしか考えられないから。