キミが可愛いわけがない
「私の協力とかなくったって…楠木くん、勝手にユズちゃんとの距離縮められてんじゃん!」
「それは…」
「ほんっと、ヘタレっていうかアホだよね。楠木くん!見た目によらず頭悪いよ!それで勉強できるとか、ちょっとそれもう天才だよね」
「わ、若松?」
「そりゃ、ユズちゃんに近づいて友達になるフリして有馬くんから引き離すって言い出したのは私だよ。だけど…なんか、私が関わることで悪化しちゃったみたいだし?勘違いされたのも全部私のせいみたいだし?悪かったわよ。知らない。もう終わり!全部終わり!友達ごっこなんてやめてあげる。そしたら私との楠木くんが付き合ってるなんて思われないもんね!」
なんでそんなに怒っているんだよ…。
わからない。
ユズも若松も──────。
「俺はっ、」
「楠木くんは!ユズちゃんが怒った原因を、自分のしたキスが原因だって話す前に、私との関係を勘違いしているからって言った。自分の言ったこと、ちょっとは考えてよ」
「…っちょ、若松!」
若松は、俺の呼び止める声を無視してその場を離れた。