キミが可愛いわけがない
ユズが女友達にこだわるのも
俺と距離を取りたがるのも
どうしてなのか理由はよく知っている。
だけど、
いいじゃん俺だけで
って気持ちと
ユズの大切にしてることは俺も大切にしたいって気持ちがいつも同時で。
結局、いつも空回りだ。
悪いけど、俺はユズが男だったらいいのになんて今はこれっぽっちも思わない。
どっちかって言うと…。
幼なじみじゃなきゃよかったのになんて思う時がある。
「あのさ、ユズ」
「………」
『300円助かった』
『俺はユズが男だったらいいのになんて思ったことねーよ』
どっちを言うか迷いながら彼女の名前を呼んだ。
多分、気弱な俺は前者を言っただろう。
でも、ユズからの返事がない。
「ユズ?」
ベッドから体を浮かせて、ベッドにもたれてるユズの顔を覗いた。