キミが可愛いわけがない
「だから、今度は私が布施くんの味方になる!」
ん?
ポツンとそこで放心状態になっていると、校舎裏から話し声がして、なんとなくそこを覗く。
一瞬、ユズの声が聞こえた気がした。
「えっ、でも…」
「はいっ、まずは自己紹介から!仲を深めるには大事だよ!ほら!」
は?なんで?
「え、えっと…布施未来です…」
「ちょ、名前は知ってるよー!あ、じゃあ未来くんって呼んでいい?」
「え、あ、…はいっ、」
そこには数日ぶりにみた、すごく楽しそうに話すユズと、ユズの隣で少し恥ずかしそうに笑っている男子の姿があった。
なんだよ、これ。
「じゃあ、未来くんの好きな教科と苦手な教科を教えて!」
「え、えっとぉ…好きなのは…現代文です。苦手なのは…数学」
「えっ、数学得意そうなのに!」
「先輩、メガネだけで決めつけてますよね」
「あ、バレた?」
「やっぱり」
そこには、久しぶりにみたユズの笑顔があって、すごく楽しそう。