キミが可愛いわけがない


ヘタレって言葉で片付けられるものじゃない。重症だ。


俺の言葉と行動はいつだって矛盾していた。


でも──────。


自分でもどうしていいのかわからないくらい。


抑えられないくらい。


ユズを俺のものにしたいって、思っちゃったんだ。


「だっさ…」


小さくそう呟く。


『男の子だから泣かないの』


親には散々言われたけど。


ユズだけは─────。


『芽郁の泣き顔は可愛いから泣いてもいいよ。ずっと見てられる〜』


そんな冗談を言いながら、俺の涙をよく拭ってくれていた。



こんなでかくなって、一人で泣いてる今、


俺のそばにいたはずのユズは、


違う男と─────


笑っている。



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