キミが可愛いわけがない


「じゃあここで身を引いて、他の男の子に柚希がとられても、芽郁くんはそれでもいいってこと?」


「それは───────」


「柚希、今日男の子と出かけたの」


っ?!


「嘘…なんで。ユズが言ってたんですか?」


「親だもの。聞かなくてもわかるわよ」


男の子…。
有馬か?
それともあの校舎裏の?


「芽郁くんと会えなくて寂しさで空いてしまった穴を、必死で埋めようとしてるんじゃないかしら」


「……」


そうだったらいいのに。
俺がいなきゃダメなユズならいいのに。


「ずっとあなたたちを見てきたもの。たぶん2人よりも2人のことなんてわかってるわよ」


自信たっぷりにドヤ顔でそういうおばさん。


「来月の学校創立記念パーティー」


「えっ」

「柚希、参加するって」

「へ、」


そういうの絶対嫌いなタイプなのに?


「なんか、やらなきゃいけないことがあるみたいで」


「誰と行くとか聞いてませんか?」


「ふふーん。私が言えるのはここまで。あとは芽郁くんがどう動くかよ?このままジッとしているか、それとも─────」



もう一度、チャンスができるのなら。

今度こそ、ちゃんとユズに思いを伝えたい。


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