キミが可愛いわけがない
あの日のこと
(side 柚希)


「俺の言った通り、面白かっただろ?」


「う、うん」


連れられたのは、映画館。

有馬が見たがっていた作品はポスターを見る限り完全に恋愛もので、正直あまり見たい気分にはならなかった。

けど…。


「あなたはきっと、2回見る」

「本当にそれ。もう1回見たい」


ラストの衝撃のどんでん返しは鳥肌が立って、興奮した。


本当、騙されたよ。


「じゃあ、もう1回目デートするか」

得意そうにニカッと笑った有馬に、なんだか一本取られた気がしてムカつく。


「しないし」


「だよね〜」


こんなやりとりをするくらい、有馬は私と付き合うことなんて不可能なのに、どうしてわざわざデートなんか…。


「…あっ」





前を見たまま声を出した有馬の顔をチラッと見てから、私もその目線の先を見る。


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