キミが可愛いわけがない


手を繋ぐカップルが楽しそうに歩いている。


知り合い、なのかな?


「有馬?あの人たち知り合い?」


「え、あぁ。違う」

ん?

じゃあなんで声なんか出したのよ。


「じゃあ、何よ」

「ダメ、だよね」

「はい?」

「手」

そういう有馬は、プイッと目をそらして顔を隠すようにした。


なんか有馬…耳赤いんだけど。


「繋ぎたいってこと?ダメに決まってんじゃん」


「…すげぇ、容赦ないのな」


「付き合ってない人となんで手繋ぐのよ」


「じゃあ付き合ってよ」


「嫌だよ」


「だよね」


有馬は諦めたらしく「腹減ったな」と言って歩き出した。


「柚希〜」


「何」


「俺、これでもちょっと落ち込んでるんだよ」


「は?」


人を無理やりデートに誘って、文句があるっていうのか?


「好きな人に手繋ぐの拒否られたり、絶対付き合わない、とか、直で言われるとやっぱ凹む」


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