キミが可愛いわけがない
かよとりんなにお別れを告げて、私は新しい席へと移動する。
ガタガタと机を移動する音が静かになってきた時。
「お、隣、河西さんじゃーん」
隣の席の男子が私の名前を呼びながらこっちを見ていた。
うわー。
なんか面倒臭いのが隣になったぞ。
「よろしくね〜、河西さ〜ん!」
そう笑って手を出してきたのは、学年でもチャラいと有名な、有馬 詩音(ありま しおん)。
男子と関わるのを避けてきた私にとって、こう言うタイプは本当に迷惑。
「あぁ、どうも」
冷たくそれだけいうと、向けられた手を無視して私は自分の席に着いた。
「えぇ、なんかつめたーい。河西さん、男子嫌いって噂まじなんだ」
男子が嫌いなんじゃない。
男子といる私を見て悪口を言う女の子たちが怖いだけだ。