キミが可愛いわけがない
記念パーティー
*
「助っ人って…」
「柚希のママでーす!」
学校の創立記念パーティー当日。
私の部屋には、布施くんとママが姿見の前に立っている。
「うちのお母さん、元美容師なの!だから、ヘアメイクとかお手の物だよ!」
「あ、そう、何ですか…」
まだ、若干不安そうな布施くん。
今日は布施くんにとって大切な日だ。
今日で、彼の人生が変わるかもしれないんだから。
「布施くん、ちゃんとコンタクトもらってきた?」
「あ、はい。ちゃんと付ける練習もしました」
「じゃあなんで今日メガネなのよ」
「いや、持ってきては、いるんです。だけど…」
「恥ずかしいの?」
「あ、う、はい…」
「仕方ないなぁ…」
布施くん、メガネと前髪で顔隠しちゃってるけど、よく見たら結構綺麗な顔してるのに。
もったいないよ。
「スーツは友達から借りたからねっ」
得意げにそういうママ。
「じゃあ、あとは頼みましたっ!ママ!」
「はいっ!」
ママは元気よく返事をすると、布施くんに姿見の前にある椅子に座るように促した。