キミが可愛いわけがない
「何」
よくわからない。
なんで自分が泣きそうなのかも。
なんで自分がこんなにイライラしているのかも。
自分の情緒の不安定さに、なんだか笑えてくる。
階段を上って、非常ドアに私の体を預けた芽郁の顔をチラッと見る。
なんだか、ちょっと男らしくなったような気がしてまたムカつく。
仲直りって空気ではない。
体育館は派手な曲がガンガンと流れているので中の人たちにはもちろん、私たちの話し声は聞こえない。
「…その格好、、何」
笑わせないでよ。
久しぶりに会った幼なじみにいう第一声がそれ?
似合わないのはわかってるよ。
ゴリラなのもわかってるよ。
芽郁にとって、私が女じゃないことくらいわかってるよ。
なのに…わざわざここまで来てバカにするの?