キミが可愛いわけがない
*
*
─────ガチャ
─────パチッ
視界がピカッと明るくなる。
「あ、ユズの抜け殻」
落ち着く声がそう言って近づいてくる。
目はつぶっていても、わかる。
「友達と喧嘩した?」
私が落ち込んでるってわかった時だけ、気持ち悪いくらい優しくなる芽郁はズルい。
だからやっぱり、頼っちゃうじゃない。
「……した」
「あー?聞こえない。メガホンボイスはどこいったんだ〜?」
芽郁の部屋のベッドでうつ伏せになった私のすぐ横に座って、芽郁が聞く。
私だって落ち込む時くらい小さな声にもなるし。
「昔のこと…思い出しちゃった」
「そう…」
「あの頃に戻るのは…怖いよ」
「うん」
「本当の私がみんなにバレちゃったら…それこそ、もう立ち直れない気がする。一人ぼっちは…嫌だ」