キミが可愛いわけがない


「あの頃とはちげーよ」


芽郁がそう言って、私の頭に手を置いた。


「ユズは1人じゃない。もし今度ユズが傷つくことがあれば、俺ができるだけそばにいてやるから」


「芽郁…」


「だから、あんまり過去のことにとらわれすぎんな。ユズはすげぇ…頑張ってるよ」


「うぅー!!ほらねっ!ほらねっ!」


私はバッと体を起き上がらせて、芽郁の枕を叩く。


ここに来れば絶対、元気になれるってわかってた。


「はぁ?」


「ありがとう、芽郁」


「いいけどさ…とりあえず、暗い部屋で俺のこと待ち伏せるのやめろな。心臓に悪い」


「そっか、芽郁、昔からお化け苦手だもんね。怖かった?」


「……っ、バカ」


「そんな恥ずかしがんなよ〜芽郁くんのことは全部お見通しだぞ♡」


「♡やめろ」


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