キミが可愛いわけがない
「芽郁は…私以外に友達欲しいとか思わないの?」
俺の顔を伺いながら遠慮がちにそう聞くユズ。
「わかんねー。俺、今までずっとユズとしかいなかったし。だから、他に友達作るとかあんまりピンとこない」
「…そっか」
小さい頃、泣き虫で怖がりだった俺は、いつもユズの背中に隠れていた。
ユズがいれば安心できたし、ユズ1人いれば怖いものはなかった。
「なんて言うか…ユズは俺の兄貴的存在?」
「うん」
うんって、すんなり受け入れる感じとか、
さっぱりしてて、やっぱりどこか男っぽい。
「だから、ユズだけいればいいやって気持ちが大きいのかも」
自分より体が大きくなった男に、そんなこと言われたらきっと気持ちが悪いだろう。
でも、ユズはそんなことで俺を気持ち悪るがるようなやつじゃない。