キミが可愛いわけがない
「あと、私、全然イケメンじゃないの…」
「は?なんだそれ」
「みんな私のことイケメンだって言うけど、全然そうじゃないなって」
「まぁ、メガホンゴリラだもんな」
「…うるさい、ひじき」
「絶対髪の毛の色だけで決めてんじゃんそれ」
どうも俺は照れ臭くて、真剣な話をずっと続けるのが苦手らしい。
だから、ユズが深刻な話をしてるってわかっててもあえてふざけてしまう。
でも、彼女の前でしかできない行為。
「…体を動かす方が好きだし、声はでかいし、背もでかいし、髪ないし、自分でも、あれ?性別間違えた?って思うことあるよ」
「うん」
もっとあるじゃん。
ガサツとか、口が悪いとか、いびきがうるさいとか。
でも、ここはあえて胸の内にしまって置く。