キミが可愛いわけがない


「柚希、俺と付き合わない?」


授業中、しかも人の教科書で先生から見えないように顔を隠しながらこちらを向いて喋る有馬。


彼にとって、この言葉は『ごきげんよう』と同じくらいの意味だ。


本当に好きなわけじゃない。


女の子なら誰でもいいんだと思うし、今回はちょっと特殊な女を落としてみようってだけ。


「次話しかけたら教科書見せないよ」


「わかったよ、マジになって怒んなし」


有馬は「ノリ悪いね」なんて付け加えてから体を机に倒した。


はぁん?
こいつ、教科書見る気ゼロじゃんっ!!



有馬と付き合う女の子は、こいつのどこが良いんだろうか。

顔はまぁまぁ整ってて一瞬ハーフかなって思う程だけど…。

それでも、彼と付き合うのは遊び前提なのを知った上だと思うし。


かっこよければいいの?


私は横目で、彼の明るい髪確認する。



いや、有馬みたいにチャラいのは


絶対にごめんだ。



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