キミが可愛いわけがない
「どういたしまして。あ、そういえば…なんで私の名前…ってそうか…体操着に刺繍されてるからわかるか…ハハハッ」
一瞬、こんな可愛い子に名前覚えられてた?ってちょっと調子乗ってしまった。恥ずかしい。
「前から…知ってますよ」
「え?」
「河西 柚希さん」
「あ、はい」
私の名前を呼ぶその声にちょっとだけ違和感を感じた。
「私、河西さんみたくなりたいです」
「…え?」
「あ、ごめんなさいっ!なんでもないです。じゃあ、私のチーム次試合なので」
「…あ、うん。じゃあね」
私がそう返事をすると、若松さんはニコッと笑って、コートへ向かって行った。
不思議な人だな…。
若松 咲菜さん。