キミが可愛いわけがない
隣から女の声がして振り向くと、そこには同じクラスの女子がストレートティーのパックにストローをさして飲みながら窓の外を見ていた。
確か…若松 咲菜。
男子の中では結構人気が高いらしい。
盗み聞き情報だけど。
「最近仲いいんだよ〜あの2人」
「はぁ?」
クラスでも大人しい彼女が、不敵な笑みを浮かべる。
「いいの?楠木くん」
「なにが…」
なんだよこいつ…なんかイライラさせる言い方。
「河西さん、取られちゃうんじゃない?」
「何が言いたいの」
人と話すのがあまり得意じゃない俺は、すぐに彼女から目をそらしてそういう。
なんか、若松ってイメージしてた感じと違う。もっと…遠慮がちなやつなのかと思ってたけどそうでもないみたいだ。