キミが可愛いわけがない
「…みて、若松さんと楠木くんがしゃべってる」
「なんか雰囲気よくなーい?」
後ろから小声でしゃべってるつもりのその声は全部はっきり聞こえてる。
「ずっと好きなの」
っ?!
は?
彼女の不意打ちの告白に思わず若松のことをバッとみる。
彼女としっかり目が合った。
だけど…おかしい。
彼女のその目は俺のことを映してはなかった。
若松は先に俺から目をそらすと、また窓の外に見えるユズたちを見た。
「楠木くんのことじゃないよ」
「……っ」
まるで心の中が読まれていたかのように彼女はそう言った。
「…もしかして…あの金髪?」
俺がそう聞くと、彼女はコクンとうなづいた。
まじかよ…。
あんなチャラ男が好みとか、意外だ。