キミが可愛いわけがない
私の手首を捕まえる芽郁の手は、いつもよりちょっと強くて。
正直びっくりして固まってしまった。
「…だから、」
「…っ!」
芽郁は突然起き上がり捕まえてた私の手首をそのまま自分の体へ引くと、
「俺の方が絶対勝つよ?」
私の耳元に顔を近づけて囁いた。
「……えっ」
っ?!
「負けた方が高いアイスおごり〜」
「えっ?!ちょ、」
ベッドから起き上がった芽郁はテレビ目掛けて走ると、ゲーム機のセットを慣れた手つきで始めた。
ほっ……。
なんか一瞬、芽郁が芽郁じゃなくみえてびっくりした。
よかった。
いつも通りだ。