キミが可愛いわけがない
「男子と関わらないようにしてるとか言いながら、あいつとは仲良いじゃん。そのうちまた勘違いされるんじゃな────っ」
止めた時にはもう遅かった。
振り返って見たユズの顔は悔しそうに下唇を噛んでいて、俯いていた。
「ごめん、ユズ。言いすぎた…」
バカだ俺。
自分がユズの隣にいられないことが悔しくて、ユズに八つ当たりしてるだけじゃん。
「いいよ、本当の話だし」
「違う、ユズは悪くない。俺が…本当ごめん。ただの八つ当たり」
「…八つ当たり?」
「ユズいなくても頑張らないとって思って…だけどやっぱりうまくできなくて…」
女子は近づいてくれるけど、やっぱり男友達は作れないのは自分の力不足で。
努力が足りないから。
「芽郁は…頑張ってるよ」
昔の、素の俺を知ってるユズだから言えるんだろう。
俺もユズも、頑張ってる。
「ふっかけたの私からだし。私もごめん」
亀裂が入る前に、お互いがちゃんと直そうとするのは、きっとお互いがお互いしかいないから。
多分俺たちは、お互いに依存している。