キミが可愛いわけがない


「若松、俺、余裕なんかねぇよ。嘘じゃない。本当なら今すぐにでもユズに触れたくて、ずっと一緒にいたくて…でもその気持ちよりも…今は怖いって気持ちが大きい。今の関係を大事にしなきゃて」


「……」


「若松と俺の目的は同じだけど、今はまだ若松に全部協力できるかって言われたらできない」



「……」



「16年だよ?ずっと兄弟みたいに育ってきて…つい最近これは違う気持ちだって気づいて…俺はやっと追いついてきてるけど、多分ユズはショックの方が大きいと思う」


どこかで、ユズはずっと俺のそばにいてくれるはずだって安心していたんだと思う。


だから、若松が言ってた『余裕』とか『自信』も全部がちがうわけじゃない。


だけど、有馬に取られるかもって気持ちからちゃんと『焦り』だってある。


でも、じゃあ今、俺はどうすればいいのかわからない。告白もできないし学校でユズとしゃべることもできないんだから。


「わかった」


ずっと黙っていた若松がやっと口を開いた。



「…まず、楠木くんと河西さんのことに協力する」



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