キミが可愛いわけがない
「ユズっ!!」
「…芽郁?!」
目の前のドアがバーンっと突然開くと、汗をかいた芽郁が泣きそうな顔で立っていた。
あぁ、こんな顔、絶対他の女の子たちが見たら母性本能くすぐられてまたキャンキャン言われちゃうよ。
「…はしゃぎ過ぎなんだよ」
芽郁はそう言うと、私の怪我した方の手に優しく触れた。
「それは芽郁の方でしょ」
「なんだよそれ。またお昼の続きするつもり?」
「…別に、っていうかなんでいるの」
「ん、荷物」
芽郁はそう言うと、持ってたカバンを指差してそう言った。
あ、私のカバンだ。
「荷物運び係。俺も先生の車乗る」
「ふーんそうなんだ」
芽郁が友達を作るよりも先に彼女を作ったことになんだか納得いってない私は、ちょっぴりそっけない態度でそう言った。
芽郁より、私の方がガキなのかも…。
本当は、荷物をここまで運んでくれたことにお礼を言わなきゃいけないのに。