キミが可愛いわけがない
「勉強会?」
「あぁ。ユズと俺と若松と3人で」
バーベキューの日から3日。
「芽郁が自ら勉強会なろうなんて…気持ち悪っ」
まだ包帯が巻かれた手でオレンジジュースの入ったグラスを持ったままユズがそう言った。
「うるせー。どーせ今回も俺に泣きつく気満々だったんでしょ」
そうだ。
毎回、テストが全て終わって追試が決まってから、ユズは鼻水を垂らしながらいつも俺の部屋にやってきた。
そんなことが続いてるんだから、俺から提案して何が悪いんだよ。
実際は若松の提案だけど。
「だってテストなんてまだまだ先なのに今からって…」
「どうせやるんだから関係ない。どーなの?やるのやらないの?ユズが決めていいんだよ?今回は若松がユズと仲良くなりたいって言うから考えてるだけで…」
「やるっ!仲良くなる!若松さんと!」
女友達を作るのに命をかけてるユズは俺の方に前のめりになってそう大きく返事した。
「お、おう…」
思わずユズから目をそらして、戸惑ってるのがバレないように返事をする。
若松に、俺がユズを恋愛対象として見てることを再確認させられて、俺は前よりもユズを意識してる。
今みたいに、突然顔を近づけられたり体が触れたりすると過剰に反応して…。
思春期か。
まぁ、思春期なんだろうけど。