キミが可愛いわけがない
(side 柚希)


私ってば…なんてことを言いかけようとしたんだろう。


『でも…そのせいで芽郁が若松さんと付き合うことになったら…』


付き合うことになったらなんなのよ。


別にいいことじゃない。


芽郁は私に構う時間なんてなくなって、私は心置きなく女友達と高校生活を楽しめる。



それなのに…。


芽郁に彼女ができちゃったら…。


こうやって、毎日芽郁の部屋に遊びに来ることもできなくなってしまうんだろうか、なんて思うと、すごく…。



寂しいな…って思う。


私は、どこまでも自分勝手でわがままだ。



「若松さぁ」


芽郁が珍しく私以外の人の名前を呼ぶと、ザワッとする。


それにただ慣れていないからだと思うけど。



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