キミが可愛いわけがない


「お前とユズは違うんだ」


「……っ、そうだよね、ごめんなさい」


「あっ、違う!咲菜が謝ることじゃないの!本当に悪いのは私!弱いのが悪い。こんな私だけど、咲菜がそれでもいいなら、私は咲菜と仲良くなりたい」


「また嫌な思いしちゃうかもよ?」


「咲菜なら大丈夫」


裏切られたことを経験した咲菜なら、

裏切ることはないと思うから。


「フフッ。ありがとう。あ、じゃあ、ユズちゃんは基本、男子とは関わりたくないってこと?」


「うん。まぁ、そう言うことになるね」


「でも、最近ユズちゃんと親しくしてる子がいるのね?隣の席の…」



おう…まさかここであやつの話をするとは。


「有馬くん、だっけ?」


「あ、うん…正直困ってるんだよね」


「そうなんだ…」


「まぁ、有馬の場合、すぐに違う子に変わってくれるとは思うんだけど…迷惑してる」


苦笑してそう言うと、咲菜はなんだか嬉しそうにニコニコしてから口を開いた。


「ふーん。こりゃ、楠木くんも大変だね」


「…え?」


「おい、若松」


芽郁に名前を呼ばれた咲菜は、ちょっとだけ肩をビクつかせて芽郁を見ると「ごめんなさ〜い」とまた笑った。



芽郁が大変って…。



どういう意味なんだろう…。




< 96 / 238 >

この作品をシェア

pagetop