キミが可愛いわけがない
「若松がお前のことは、女の子、じゃなくてゴリラだって認識したからじゃない?」
「口の中に大量に乾燥ひじき詰め込んで水飲ませてやるぞ」
「……」
想像しただけで吐きそうになる。
「あー、だから、ユズとは通じ合えるって思ったんじゃないの?助けてあげたんでしょ?前に」
そう言って、焦ったせいで乾いていた喉を潤そうと、少し残ってたオレンジジュースを飲み干す。
「…それは…そうだけど…」
「我慢してでも、自分を押し殺してでも、女友達が1番大事だったのはどこのどいつだ?」
たとえ若松が何か企んでいたとしても。(実際そうだけど)
それをキッパリと断ったり逃げ出すことは、今のユズには不可能で。
それを知っていて、俺は今、若松を利用して邪魔者である有馬と引き離そうとしているんだ。