私のご主人様Ⅳ
「食べる分の臭み取りはやっとけ。残りは売りに行ってくる」
「コクコク」
「こ、ことねぇ?終わった…?」
3分の2のお肉を持った青海さんはそれを保冷剤がたっぷり詰まった保冷バックに入れていく。
そのタイミングで顔を出した梨々香ちゃんは、私が持ってる肉を見て飛び上がって屋敷の奥に逃げていってしまった。
ありゃりゃ…。
とりあえず臭み抜き専用のお鍋(梨々香ちゃんの要望)でさっそく臭み抜きのために茹でていく。もちろん、生姜やネギ、お酒などいろいろ入れてグツグツ煮込む。
これを明日もやるんだから少し気が滅入る。でもちゃんとやらないと臭いから食べにくくなるし…。やっぱりめんどくさい。
「琴音、お嬢が終わったら呼んでだって」
「コク」
「それにしても、青海さんはどっから獲ってくんだろ」
台所に顔を出した暁くんは、お鍋のなかにいる肉を睨み付けるように見つめている。
癖があって食べにくいとは思ってるけど、何とか食べられないこともない。でも、梨々香ちゃんと暁くんは苦手みたいで食べようとしない。
逆に平沢さんと青海さんはがっつくように食べる。源之助さんと田部さんは嗜む程度かな…?
そんなわけで、獅子肉の時は料理も品数を多目にしないといけないのが少しだけネックだ。