私のご主人様Ⅳ
「ふぎゅ!?」
突然首の後ろを掴まれて変な声が出る。って、く、苦しい…。
「ッチ…離れろ、琴音」
「イヤイヤ」
「あ?」
「ッビク…」
少しだけ視線を後ろに向けると、恐ろしい顔で見下ろしてくる季龍さんと視線が重なって咄嗟に逸らす。
奏多さんを見ると苦笑いをして、さっきまで背に回っていたはずの手は、肩におかれていた。
「琴音」
「イヤイヤッ」
「…他の男に抱き付いてんじゃねぇ」
「…か、奏多さん、は…お兄ちゃん…です」
「男だろうが」
「お、お兄ちゃんは、お兄ちゃんです!」
奏多さんにしがみついて、季龍さんと視線を一切交わさないまま口を開く。じゃないと、絶対言えない気がしたから。