私のご主人様Ⅳ
「いいから離れろっ!」
「いやぁ!!」
「ブハッ!な、何やってんのさ…っぎゃはは!!」
玄関に足を踏み入れるなり吹き出した信洋さんは、奏多さんにしがみつく私と、私を引き剥がそうとする季龍さんを指差してゲラゲラ笑い出す。
その時怯んだ一瞬で季龍さんに力負けして腕の中に収められてしまった。
あう、奏多さん…。両手を伸ばしても苦笑いしか返ってこなくて、掴んでくれそうになかった。
「はぁあ、笑った笑った。若、ここちゃんもう離れないんだから、再会くらい大目に見てやれよ」
「うるせぇ」
「あ、何?自分には抱き付いてこなくて拗ねてんのか?なーんだ、そう言うことか。ここちゃん、ほら若に再会のキスしてあげな」
「!?」
な、なんでハグじゃないんですか!?
季龍さんを見上げると離してくれそうな気配はなくて、とりあえず体を季龍さんに向けようとするとそれはすんなり動ける。