私のご主人様Ⅳ
「せ、せめて洗濯はします」
「ダメだ」
そんなばっさり言わなくてもいいのにっ!
季龍さんを見ると、困ったような顔をしていて口を閉ざす。
どうして、そんな顔をしているんだろう。…私が知ってはいけない何かがあるから?
季龍さんはしばらく悩んだ後、複雑な表情を浮かべたまま口を開く。
「新しく来た奴は、永塚組に仇をなした奴だ。そいつへの罰でもある。だからお前はそいつの仕事に手を出さないでくれ」
「…」
季龍さんは、大分言葉を選んでくれたんだと思う。ストレートな物言いを避けたのは私が知らなくてもいいことを必要以上に知ることがないようにだ。
季龍さんが決めたことだ。そこにどんな裏があろうと、これ以上私は知らない方がいい。
頷くと頭を撫でられる。
守られている。そう、はっきりと感じた。