私のご主人様Ⅳ

「分かった。…力抜け」

「っにゃ!?」

さっきよりも動き出した手に変な声が出る。それを押さえるように両手で口を塞ぐと、後ろから抱き締められてしまった。

………

……

…。


小一時間ほど経過。

ふらふらと廊下を歩きながら向かう先は台所。

すっかり骨抜きにされてしまった…。それどころかさっきまで歩くどころか立つことも出来なかった。

思い出しただけでも顔どころか、身体中が熱くなる。

『琴音』

「っ~!!」

ダメだ。しばらく季龍さんと顔会わせられない…。

廊下でうずくまって耐えること数分。再び歩き出すけど、熱は完全に収まる気配なんかなかった。
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